樹木希林さんと同じ治療を受けた私が「全身がん」に関する記事を読んで思うこと
(※2020年3月23日加筆・修正しました)
2018年5月3・10日号のデイリー新潮に出た記事です。
樹木希林さんは、同じ時期に治療していました。
植松先生曰く、待合スペースのソファを指差しながら「あなたの隣でよく待っていたよ」とのことですが、ほぼ記憶にありません。
「彼女はそういうの、消す人だからね〜」
いわゆる“芸能人オーラ”ってやつのことでしょうか。
本名は内田さんのはずなので、診察に呼ばれるとき、「内田さ〜ん」と声をかけられていたのかもしれません。
筑紫哲也さんも同時期でした。
筑紫さんは、ご家族と一緒にいらしていて、奥様やご子息お嬢様に手を引かれて、ゆっくりと歩いていらっしゃいました。
その5ヶ月後にお亡くなりになりましたが、あのグレーの髪の印象とは程遠く、柔和なおじさまで、周囲の人ににこやかに微笑みかけていたのを覚えています。
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さて、本題の希林さんの記事ですが、
おそらく樹木さんは、乳がんが多臓器に転移してはいるものの、ほとんど症状が現れず、検査で見えるくらいまでがん細胞が成長したら、その都度、放射線などで対処し、長期的にがん細胞と共存できているんだと思います。
私が治療しているときも、再発転移してこのクリニックに来たという人が何人かいました。
この文中で、山王病院副院長の奥仲哲弥先生が解説されているように、それまでは定期的に検査をして、特に新しい病巣は見えてはいなかったけれど、ごくごく小さいものはあって、「大きくなってきたから治療しようか、ということになった」と話していました。
この治療は、疼痛(=痛み)にも効果があるらしいんですね。
筑紫哲也さんも、ステージとしてはもう末期でしたが、痛みに耐えきれないとき、照射してもらっていたようです。
「さっきまですごく痛かったけど、放射線当ててもらったら楽になったよ〜」
私が点滴を受けている隣の処置室から、そんな話が漏れ聞こえてきたことがありました。
検査のために入院しているというTちゃんも、そのときすでに乳がんの末期でしたが、「先生、腰が痛いよ」と言って照射してもらっていたと話してくれました。
緩和ケア的要素もあるのです。
私はその対象ではなかったので、詳しいことはクリニックに尋ねてみてください。
そして、この治療法に対する疑わしい思いは、まだまだ拭えないようですね。
そりゃそうかもしれない。
がん=死という公式は根強いだろうし、ましてや、その治療法も壮絶なイメージのままだし。
このクリニックの放射線治療は、時間軸の要素も加えた「四次元ピンポイント照射」であると謳(うた)われ、これにかつて本誌(「週刊新潮」)上で「疑義」を示したこともあってか、検査結果を尋ねると、
「資料を見せないと分からないけど、見せる必要がある? (がん体験の)本を書きますからご心配なく」
こう答えるのみなのだった。
もうね、本当に「見せる必要ある?」としか言えないんですよ。
私だよ、と。
エビデンスは私だよ、と言いたい。
もちろん、数値的なこと、画像診断的なことも見せないと信用してもらえないでしょうが。
治療ももちろんですが、激しい副作用や、手術で切除するなどのダメージを我慢するよりも、苦痛をやわらげるつきあい方として、この4次元ピンポイント照射を選んでもいいのではないでしょうか。
いわゆるQOLというものですね。
それと、俗にヤフコメと言われる書き込み欄、なんだか好き勝手書いている人もいますが、ここでの治療は「重粒子線」や「陽子線」ではないですよ。
(※本ブログで最初にアップしたときは,Yahoo!ニュースに記載されていました)
それから、「全身がんという曖昧な表現ではなく、どの程度なのか、どんな治療をどのくらいの期間やっているのか、そしてその効果で縮小したのか、プロセスを公開してほしい。治療費も。そうでないと、多臓器転移の他の患者が、元気な樹木希林と比べられて迷惑する」というコメントもありました。
私の例でよければ、今後どんどん、このブログで書いていきますよ。
といっても、このヤフコメを書いている人たちは、このブログなんて目に入ってこないだろうけど。
自慢じゃないけど、このクリニック史上、1〜2を争うがん病巣の大きさと悪性度の高さと言われましたから、全身がんと変わらないかもしれませんよ。
ああ、そうだ、私は別のがんも罹患していますから、ある意味全身がんでもありました。
そのうち、そのもう一つのがんについても、書けるときが来たら書きます。
樹木希林さんが元気なら、私も元気だ、という目安にもなっています。
そして、私も役者の端くれでもあるし、その面においても目標にさせてもらっています。
そんなに信用できないかな、この治療法。
それを一つひとつ、これから明かしていきますよ。
私の場合ですけどね。