生きた証をつらつらと 〜2つのがんを同時に患いました~

直径10cm・転移3か所・ステージIIIの乳がんを切らずにUMSオンコロジークリニックで治療し、子宮頸がんも4度の手術で温存して12年が経っても、まだ息をしている女の生き方

MENU

UMSオンコロジークリニックでの入院生活【見舞いに来た母と観光】

前回の記事はこちらから読めます↓ 

blueguitar.hatenablog.com--------

このブログでは,UMSオンコロジークリニックでの入院生活や治療中の様子が知りたいという方に,12年が経ってもまったく影響なく生きている私からお伝えすることで,がんの治療が終わった後の未来を思い描くお手伝いができればいいなと考えています。

 

今回は,2008年6月10日と11日の日記を引っ張ってきます。

実家から母が鹿児島までやって来ました。

f:id:blueguitar:20200528135746j:plain

 

UMSオンコロジークリニックでの入院生活 

必ずしも入院する必要はない

「入院生活」とはいえ,がんの治療にもかかわらず,入院しなくても治療できます。

クリニック(当時の名称はUASオンコロジーセンター)には入院施設はありません。

提携先の病院に入院し,放射線治療の時間にクリニックに出向いて治療するという流れになります。

私が治療していたときにも,さまざまな背景の患者さんがいたので,一概に「入院しなくてもいい」とは言いがたいのですが,私は入院してもしなくても,どちらでも選択することは可能でした。

ウィークリーマンションを契約する人や,筑紫哲也さんのようにホテルを利用する人もいました。

私の場合,病巣が大きかったことと,別のがんの既往があったことなどの理由で,治療中のトラブルなどが予期できない可能性があったため,入院を選択しました。

 

現在のがん治療では,通院治療が可能なパターンも増えてきているようですが,鹿児島という立地に縁のない人は,滞在の手段を考える必要があります。

そもそもの「提携先へ入院」というスタイルが,いまでも可能なのかどうかはわかりません。

治療を検討している人は,その点をクリニックに直接確認してください。

母がやって来た

私は入院を選びましたが,お見舞いに来てくれた母と,観光を楽しむことができました。

それだけ自由度の高い治療法だということがいえます。

当時の日記には,こんなことを書いていました。

****************************************

お昼前にバス停へ向かい,母を出迎えた。

そのまま昼食へ。

うなぎ屋さんでうな重を食べた。

その後,天文館をぶらぶらしたが,早朝に出発し,旅慣れないこともあって,やや疲れ気味の様子。

宿へいったん戻って休憩するよう奨めた。

16時くらいにホテルへ送り届け,再び一人になった。

招集がかかるのか,かからないかは母の体調次第。

****************************************

午前中に治療があったため,空港まで迎えに行くことができませんでした。

知らない土地で,知らない交通手段を使うので,母が不安になるだろうと考え,家から空港までの行き方,空港でのチェックインの手順などもすべて書いて,手紙で送りました。

母は携帯電話を持っていないので,公衆電話の場所まで書いたように記憶しています。

相当疲れていたのでしょう,また連絡が来たのは19時くらいでした。

母と行った所〜鹿児島滞在中にできること 

鹿児島名物を堪能しました

外出も外泊もできたので,母と鹿児島を満喫することにしました。

私は夜には病院へ戻り,午前中に治療を終えてから,母と合流していました。

母にとっては,私に会うことが目的なのでしょうが,知らない土地にせっかく来ているのなら,旅として楽しまない手はない!

2泊3日ではありましたが,できる限りのイベントを詰め込みました。

 

上に書いた「うなぎ屋さん」は,鹿児島市内一の繁華街・天文館にある「末よし」さんでした。

鹿児島県はうなぎの生産量日本一なんですね。

(画像:BESTなお店が見つかる実名型グルメサービス「Retty」よりTomoko Kawabataさん投稿)

(画像:BESTなお店が見つかる実名型グルメサービス「Retty」よりKen-sawadaさん投稿) 

 

次の日には,回転鮨に行きました。

鹿児島県内で展開する「めっけもん」さんです。

新鮮すぎる鹿児島ならではのお魚で握られたお鮨,おいしいに決まっています。

 

私たちが行ったドルフィンポート店は元の場所からはちょっとだけ移転したようですね。

鹿児島市内に他にも店舗があり,数年後,夫と鹿児島中央店に行きました。

(画像:廻る寿司めっけもん公式サイトより)

 

 

私が治療していた当時はなかった地鶏とお魚のお店「晴レ屋さんも,治療が終わってからも数年の間,PET検診に鹿児島に行っていたときに見つけて,ホンットしびれましたもん。

 (画像:地鶏とお肴 晴レ屋公式サイトより)

 

また,母が滞在していたHOTEL&RESIDENCE南洲館 にはレストランが併設されていました。

2日めの夜には,このレストランで黒豚しゃぶしゃぶを食べました。

********************

鍋の全国コンペで1位になったこともあるそうで,野菜がたっぷり食べられて,豚肉も脂身がしつこくない。

大当たりだった。

********************

本場で食べる黒豚の味,今でもなつかしく思い出します。 

鹿児島は本当に魚も黒豚も,そしてお酒もおいしい。

 

旅に行くことはなかなかむずかしい昨今,昔を振り返ってみて,たまには鹿児島の味をお取り寄せしてみようかなと思いました。 

(画像:九州の美味しいを産地直送でお届け、九州お取り寄せ本舗 公式サイトより)

観光も楽しめました

もちろん,グルメだけでなく,観光も楽しみました。

治療のない時間は,本当にフリーです。

体調が良ければ,どこへでも行けました。

********************

母を迎えに行き,市内観光の巡回バス“かごしまシティビュー”に乗る。

主要観光地に停まってくれるお得な乗り物。

あまり魅力を感じる箇所はなかったが,

鶴丸城跡地を通りすぎるとき,母が城壁を眺めながら「低いなぁ。攻めやすそう」と呟いた。

私にはそんな視点はない。

********************

“かごしまシティビュー”とは,鹿児島市内の観光地をめぐる循環バスです。

一日乗車券は市電,市バスも乗り放題,しかも,観光施設等の割引パスポートがついています。

www.kagoshima-yokanavi.jp島津家の別邸である仙巌園や,鹿児島市街地や錦江湾を一望できる城山展望台など,効率よく周ることができます。

 

そして鹿児島中央駅に移動し,駅ナカのショップで買い物を楽しみました。

映画も観ました。

このときは『相棒−劇場版−』を観たようです。

相棒 -劇場版- 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン〈通常版〉 [DVD]

相棒 -劇場版- 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン〈通常版〉 [DVD]

 

最後は観覧車でガールズトークめいたことを親子でべらべらとしゃべったような。

********************

鹿児島中央駅のビルにある観覧車に乗ってみることになり,路面電車で移動した。

なんでも九州最大規模らしい。

普通のゴンドラとシースルーのゴンドラのどちらがいいか訊かれ,おかあさんってば,

「うわ~,シースルーって!なんか怖いわ~! 恐ろしい~! 乗ってみようか」

なんじゃそりゃ…

********************

www.amu-kagoshima.com


【アミュプラザ鹿児島】アミュラン

 

********************

雨粒で視界がうっすら遮られていることもあり,機体本体の照明とあいまって,不気味な演出効果を醸す。

BGMがこれまた,もの悲しげなピアノ曲

 

超ゆったりしたトルコ行進曲なんか流れてきたもんだから,それにちなんで,安田祥子由紀さおり姉妹の話題なんかを無理矢理話す。

トルコ行進曲 (ソナタ K.331より)

トルコ行進曲 (ソナタ K.331より)

 

♪てぃあららるん,てぃあららるん…

由紀さおりさんの本名が安田朗子だそうで,“ほがこ”と読めるね,なんて気をそらしていたのに,無情にも雨風が強くなり,ゴンドラもやや揺れる。

恐怖4割増。

 

高い所はわりと平気なわたしでも,膝下から先がズン…となりましたですよ。

だって,上下左右前後に360゜外が見回せるんですよ。

きゃおー。

 

なんとか15分を笑顔で乗りきった我々母子。

タクシーで各々の宿へ向かって,今宵のレジャーは完了。

********************

我ながら,なんだかとっても楽しそう。

シースルーゴンドラは,今も健在だそうです。

 

最後に,こんなことを書いて締めくくっていました。

********************

わたしは本当に病人なんだろうか? という昨日と今日。

母がいるから,ますますヘラヘラしているんだろうな。

もう明日は,朝から母が帰っちゃうんだ。

泣いちゃうかな,明日。

********************

結論から言うと,泣きませんでした。

楽しかった記憶しかない,2泊3日の母子旅となりました。

がんの治療中なのに。

おわりに

本当に病人だと思えない日々を過ごしました。

この数週間後には,東京からわざわざ友だちも来てくれたのですが,同じように鹿児島を堪能しました。

それはまた,改めて書くことにしますが,ステージⅢの乳がんでも,こうして楽しく入院生活を過ごせる可能性もあるのです。

もちろん,楽しい楽しいだけの2か月ではないのですが,ベッドにただ横たわって耐えるだけではない,こんな治療もあるのです。

今週のお題「遠くへ行きたい」