生きた証をつらつらと 〜2つのがんを同時に患いました~

直径10cm・転移3か所・ステージIIIの乳がんを切らずにUMSオンコロジークリニックで治療し、子宮頸がんも4度の手術で温存して12年が経っても、まだ息をしている女の生き方

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『凪のお暇』で毎回号泣します【母と子の関係性(ややネタバレ)】

前回の記事はこちらから読めます↓ 

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Amazon Prime Videoに『凪のお暇』が登場!

2019年夏シーズンに放映された『凪のお暇』が,Amazon Prime Videoでも視られるようになっていました。

 

この年の秋に,母とふたりで台湾旅行に行ったとき,日本語チャンネルで全話中国語字幕つきで放送されていました。

ちょっとだけ視ていたら,「これ,おもしろいかも…」と思いました。

凪のお暇 DVD-BOX

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日本の地上波では視たことがなく,台湾で視たときも途中からでしたので,ちゃんと最初から視てみたいなと思っていました。

すると,今年に入って,緊急事態宣言で各番組の撮影中止を余儀なくされたテレビ各局が,ドラマの再放送を始めました。

そのなかで,この『凪のお暇』も,『イッキ見SP』と題し,3〜4話ずつをまとめて放送していたので視てみました。

 

思ったとおりにおもしろく,録画したものをさらに何度も視ました。

「おもしろくない」「イラつく」などのご意見もあるようですが,私は,感情移入してしまう箇所がいくつもありました。

 

アラフィフのおばちゃんですが,このドラマで泣いてしまいます。

号泣です。

 

そんなに泣けるシーンあるか?

私にはあったのです。

 

それは,母と子の関係性です。

母と子の関係性を表すシーンで泣いてしまう

【ネタバレあります】

第2話から少しずつ,主人公・凪とお母さんとの対峙の構図が描かれ始めます。

それはこのドラマの,自己肯定感の低さを克服するというテーマの根底にある部分でもあります。

 

その前哨戦とでもいいましょうか,凪の隣の部屋に住む母子家庭の様子が登場します。

 

小学生の うららちゃん が,お友達と楽しく会話しているところを目撃した凪でしたが,おしゃべりが終わったうららちゃんは,住んでもいないマンションに入っていきます。

本当に住んでいるオンボロアパートとは似ても似つかぬ外観の建物です。

貧しい生活を知られたくなくて,嘘を演じていたわけです。

 

それを凪に見られたことに気づいた うららちゃん は,帰宅したアパートで,泣きながら凪にこう言います。

「だって仕方ないじゃないですか,友達と一緒にいると比べちゃうんだもん。どうして私だけゲーム買ってもらえないの?って。どうしておやつは毎日おいしくないビスケットなの?って。よそでは飼えるワンちゃんがどうして飼えないの?どうしてうちには,行ってらっしゃいとおかえりを言ってくれるお母さんがいないんだろうって」

凪は答えます。

「よそはよそ,うちはうち。…って,私,昔よくお母さんに言われたんだけど,でも,比べちゃうよね,絶対比べちゃう。だから,うららちゃんは悪くない」

凪なりに,うららちゃん を励まします。 

うららちゃん と同じく,凪も母子家庭で育ったので,気持ちがわかるんですね。

 

お母さんのことが大好きと言う うららちゃん ですが,凪は,実は自分の母親のことが苦手です。

  

私はこの,うららちゃん の告白のシーンでいつも泣いてしまいます。

うららちゃん とまったく同じことを思い,嘘を演じることはしないまでも,鍵っ子で,ボロボロの集合住宅に住み,母の帰りを待っていた自分と重なってしまうのです。

そして,「よそはよそ,うちはうち」と私も言われて育ちました。

 

ですが,その先に凪が言ったことを,これまで誰も言ってくれたことはありませんでした。

 

「絶対比べちゃう。だから,うららちゃんは悪くない」

 

これを誰かに言われていれば,もっと救われていたかもしれません。

 

たくさんの比較対象がそばにある以上,クールに割り切ることはむずかしかったです。

比べても仕方ないのはわかっている。

だけど,子どもの頭では,それすらも整理できません。

 

年齢を重ねて,ようやく「割り切る」ということを覚えてきましたが,幼い頃から抱え続けてきた思いグセは,簡単にスパッと割り切れて直せるものでもないんですね。

直したいですが。

 

その後にも,凪が,母親からの呪縛が解けずに,変われない自分を嘆くシーンが出てきます。

私も,母から言われたことが頭から抜けなくて,それに縛られていることに気づくまで,かなりの時間を要しました。

 

「ああ,これってお母さんが言ってたことそのものだな」

「お母さんの悪い癖がそのまま似ちゃったな」

 

母もたぶん,私だけが生きがいで,私に依存していたのでしょう。

凪の母のように,娘からの仕送りに頼ったりすることはありませんでしたが,母から言われることは絶対である,という環境でしたから,共依存のようなものだったのでしょう。

 

第9話で,凪が「お母さんのそういうところ,嫌い」と言い放つシーンが出てきますが,それまでは,自分の母親のことを「嫌い」と言ってはいけないのではないかという葛藤のようなものが伺えます。 

母とは一緒に旅行できるまでに なりました

このドラマを知ったのは,母との旅行先でした。

そうやって一緒に旅行に行けるようになるまでに,母との関わりを一切断っていた時期もありました。

最初にホテルのテレビで視たときは,ほんの数回の数分だけでしたので,そんな伏線があることなど,わかっていませんでしたが。

 

自分のことを客観視するのに,ドラマや小説は役に立ちますね。

そんなことを思いながら,10話まで一気に視てしまいました。

Amazon Prime Videoで公開されているのは,『イッキ見SP』ではカットされていたシーンが含まれていました。

 

というか,Amazon Prime を改めて視て,『イッキ見SP』にカットされている部分があったことに気づきました。

まだ気づいていないシーンがあるかもしれないので,また視てみます。

 

ここまでドハマリして視たドラマは久しぶり。 

もう少し『凪のお暇』の感想が続きそうです。

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