生きた証をつらつらと 〜2つのがんを同時に患いました~

直径10cm・転移3か所・ステージIIIの乳がんを切らずにUMSオンコロジークリニックで治療し、子宮頸がんも4度の手術で温存して12年が経っても、まだ息をしている女の生き方

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納豆コーヒーゼリーサンドに罪はない【許すまじ社長の反応】

前回の記事はこちらから読めます↓ 

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はてなのお題に乗っかります。

7月10日は「7(な)10(とお)」で『納豆の日』ってことですね。

鞍馬の納豆コーヒーゼリーサンドがまた食べたい

納豆で思い出すのは,東京の代々木にあった,鞍馬というサンドイッチのお店の納豆コーヒーゼリーサンドです。

納豆とコーヒーゼリーと生クリームが絶妙なバランスでサンドされた一品でした。

 

コーヒーの苦味と,生クリームのコクと甘さが納豆に絡んで,納豆ならではのネバネバが少し抑えられ,独特の歯ごたえとなっておいしかったんです。

 

代々木のお店は,もう10年くらい前に閉店してしまい,いまは三重県鈴鹿市の1店舗のみだそうです。

retty.me

この珍しさのあまり,誰かに勧めては「おもしろいでしょ?」というのが楽しかった時期がありました。

あらかじめ,納豆が食べられるとわかっている人に向けてのみでしたが。

勧めた人は誰もが,おもしろいね〜と笑ってくれていました。

 

ある日,知り合いの社長に勧めてみようと思いつきました。

今もつきあいのある人なので,あまり悪くは言えませんが,当時で60代に入ったくらいの,お腹にでっぷり脂肪が詰め込まれている,グルメ気取ったおじさんです。

 

たまたま周りのスタッフと,この納豆コーヒーゼリーサンドの話題になったのですが,社長はどういう反応するかな?と考え,尋ねてみることにしました。

 

せっかくだから,サプライズ的に“これ,何が入ってるでしょう?”みたいにしてみようっと。

 

「社長,今度,おもしろいものを持ってくるので,食べてみてもらえませんか?」

すると社長は,「何を持ってくるんだ?」と訊き返してきます。

 

「おもしろいものなので,楽しみにしててください」

それだけ伝えておきました。

 

いつも,おいしいものや珍しいものを喜んでいる姿を見ていたので,どんなふうにコメントするのか,出すほうとしても楽しみにしていたのです。

 

そしてある日,約束どおり,代々木の鞍馬で納豆コーヒーゼリーサンドを買い,社長に手渡しました。

「この間,お話ししていたものです」

 

受け取って一口食べた社長。

 

「ふーん」

 

え。

それだけ?

いつも「これおいしいな」とか「初めて食べたよ」とか言ってくれるのに。

 

それ以上も,それ以下も言わず,無表情で終了しました。

「ふーん」以外の言葉は何も発せられませんでした。

 

なんで…?

いつもと反応が違う。

 

すごーくがっかりです。

凹みました。

いつもなら「おもしろいね」とか言うのに。

 

社長のいない所で,スタッフに訊いてみました。

「社長に食べてもらったら何と言うだろう」と私が話していたことを知った社長は,「何を持ってくるんだ,言え,言え!」と詰め寄ったといいます。

尋ねられたスタッフは,「納豆とコーヒーゼリーと生クリームのサンドイッチだそうです」と答えたらしいのです。

 

その人曰く「社長は,食べ物で失敗するのが嫌なんだろう」ということでした。

私がマズイものでも持ってくるとでも思ったのでしょうか。

信用されてないんですね,私って。

 

私も,思わせぶりなことを言わなければよかったんですね。

とはいえ,「ふーん」だけで済まされた私のみじめさ。

なんなんだ。

こんなにおいしいのに。

 

いや,楽しげな反応を期待した私がバカだったんですね。

はいはい,そらどうもすみませんでした。

社長には今後,おいしいものも珍しいものも一切差し上げません。

許すまじ。

 

…口には出さないけど。

 

 

納豆というと,この出来事を思い出すのです。

 

納豆コーヒーゼリーサンドに罪はありません。

かといって,自分で作ってみようという勇気もありません。

あの絶妙なバランス。

 

あんな頭の固いおっさんになんて食べてもらわなくても,あの良さをわかってくれる人はこの世の中にきっといる。

 

納豆コーヒーゼリーサンドに罪はありません。

鈴鹿に行かなきゃ食べられなくなった,あの不思議な一品。

いつかまた会える日まで,スーパーの納豆を白いご飯と食べて,ひとり我慢します。

 

今週のお題「納豆」