生きた証をつらつらと 〜2つのがんを同時に患いました~

直径10cm・転移3か所・ステージIIIの乳がんを切らずにUMSオンコロジークリニックで治療し、子宮頸がんも4度の手術で温存して12年が経っても、まだ息をしている女の生き方

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がんばる女は嫌われる?(後編)

前回の記事はこちらから読めます↓ 

blueguitar.hatenablog.com--------

前回,彼氏との結婚のために朝から晩まで仕事を3つ掛け持ちしていた女性ハヤシさんが,その彼氏を別れることになったところまでを書きました。

彼氏フクシマさんには別の女性がいたのです。

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ツヤコさんという女性

「フクシマさんが,ツヤコさん(仮名)と結婚することになったそうよ」


え。


ツヤコさん???


社内の経理かどこか事務方の,地味な女性です。

すぐには顔を思い出せないくらい,存在の薄い人でした。

たしかフクシマさんより7〜8歳くらい上のはずなんすけど。

 

はっきり言って,「めっちゃおばさん!」と思っていた人なんすけど。

失礼ながら,当時20代前半の私はそう思っていました。

若かったので,ストレートにそう思ってしまいました,ごめんなさい。

 

さらに。


「ツヤコさん,いま妊娠7ヶ月くらいらしくって」

 

え。


ツヤコさん????


たしか子どもが2人くらいいるシングルマザーで。

 

「“制服が入らなくなったので,大きいサイズのものをください”って総務に頼んで,妊娠が発覚したんだって」

 

え。


ツヤコさん?????


女性だったら,しかも子ども2人のシングルマザーということなら経産婦なんだし,そこまでになる前に気づくでしょ。

 

「たぶん,もう堕ろせないってなるまで待ってたんじゃないかっていうのが,本筋らしいの」

 

え。


ツヤコさん??????


地味な出で立ちでいて,実はかなりの策士なのか?

 

「ううん,フクシマさんがそうしてたみたい。フクシマさん,ツヤコさんにベタ惚れなんだって」

 

…男性の好みというものはわからないものです。

というか,ハヤシさんとの仲は,じゃあフェイクだったってこと?

いや,しかし,会社中の誰もが,フクシマさんとハヤシさんは結婚するものだと思っていました。

それがどうしてこんなことに?

 

そうか,あの飲み会のときの「(ハヤシさんなんて)そんなの,関係ないし」って言っていたのは,かなりの本音だったのか。

 

ここからは推察の域を出ないのですが,きっとフクシマさんは周囲から「ハヤシさんと結婚するんだろ結婚するんだろ」と言われていたのが窮屈だったのではないでしょうか。

そして,ハヤシさんにはもう愛がなくなりつつあったのでしょう。

 

なのに,ハヤシさんは「自分ががんばってお金貯める!」なんて張り切っている。

そんなに俺に甲斐性がないって思われているのか。

安らげない。

そんなところでしょうか。

 

どのタイミングでツヤコさんとフクシマさんが付き合うようになったのかは定かではありませんが,割と長い期間で二股をかけていたようです。

知らぬは周りばかりなり,当人同士では着々と計画を進めていた,というわけです。

 

ハヤシさんを遠ざけるためには,これしか方法がないと思ったのか。

ツヤコさんが入れ知恵したのか。

それともフクシマさんが企てたことなのか。

 

いずれにせよ,あっという間にフクシマさんとツヤコさんは,後ろ指をさされつつも,社内一のラブラブカップルとなってしまいました。

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余談…ハヤシさんへの餞別

そして,そんな辞め方をすることになってしまったハヤシさんに,誰かが餞別のプレゼントを贈ろうと言いだしました。

すると,「もう出社してこないだろうけど,家が近所だから届けに行くわ」と,最長老のおばあさんスタッフTさんが出しゃばり始めました。

しかも,あろうことか,こんなことを言い始めたのです。


「知り合いがギフトショップをやっていて,そこでかわいいレースのエプロンがあったから,もう頼んでおいたわ。一人¥500回収するから」

 

は?
バカなの??

 

自分が贈りたいというだけで,勝手に品物を決めてきたTさん。

どんな事情があったかもちゃんと知っているでしょ?!

よりによってレースのエプロンなんて,新婚イメージそのものじゃないですか!

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Amazonでも「結婚お祝い」って書いてるし…)

 

メンバー総出で全力反対しました。

もちろん,その場でレースのエプロン案は却下されました。

 

激憤ぶんむくれの長老Tさん。

何故ゆえ,結婚の夢が絶たれた女性にレースのエプロンを贈ろうとするの?

その思考回路がまったく理解できません。

 

結局,何か別のものを別の人が選んで贈ったそうです。

最年少かつ職歴の浅い私は,深入りするつもりはもちろんないし,介入させてもらえるわけもなく,遠巻きに見るのみだったので,何が贈られたのかは知りません。

教訓にするしかない

後日たまたま,私たちの部署とやり取りの多い,仲良しの出入り業者のおじさんが偶然ファミレスかどこかでハヤシさんと遭遇したそうです。

おじさんの顔を見た途端,わーっと泣き出してしまったといいます。

無理もありません。

おじさんも,「忘れるしかしょうがないだろ」と言うのが精一杯だったそうです。

 

噂によると,がんばって貯めたお金を,どこかの怪しい宗教団体に入るとか言って使い込んだりしたとかしないとか。

いくつかの情報が入ってきてはいましたが,どこまでが本当のことか,もうわかりませんでした。

 

あれから20年以上も経ちました。

ハヤシさんもフクシマさんもツヤコさんも,どんな人生を送っているのでしょうか。

フクシマさんとツヤコさんにはバチが当たっているのでしょうか。

ハヤシさんは乗り越えて幸せになったのでしょうか。

私をちまちまといじめていたハヤシさんのこと,意外とあっさり立ち直って,新しい生き方を見つけたかもしれません。

そして,最年長だったTさん,たぶん90歳を越えているはずですが,お元気でしょうか。

 

私にとってもいい教訓となりました。

自分ひとりだけががんばらなくてもいいということ。

頼るべきところは頼ろうということ。

悪い男ってのは,どこにでもいるもので,それを見抜く目をしっかり養おうということ。

そして,餞別プレゼントを決めるときは,辞める理由をちゃんと鑑み,決して自己主張しちゃだめ,ということ。

 

果たして,この3人+1人から学んだ成果,活かされているのでしょうか,いまの私の人生。

それはまた,別の話。

教訓。

教訓。