がんばる女は嫌われる?(前編)
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今回は,かつての職場で社内恋愛をしていた先輩の身に起きた事件について,書いてみます。
当時はまだ,10年後にがんになるなんて思いもしなかった20代。
もちろん,結婚のケの字も考えていない頃でした。
この事件を目の当たりにして,つくづく男女関係ってむずかしいなと考えさせられた話です。
朝から晩まで働いたハヤシさん
いくつかの仕事を経た後,私は某物流会社に勤務していました。
同僚にハヤシさん(仮名)という女性がいました。
彼女は,夕方まではある会社で正社員として勤め,終わったら私の会社に来て22:00頃まで作業のアルバイトをしていました。
さらに,それが終わってから,パチンコ屋で掃除のバイトをするという,パワフルな生活を送っていました。
ハヤシさんには結婚を考えているフクシマさん(仮名)という男性がこの物流会社にいて,社内全員がその交際を知る,公認の仲でした。
なぜ,そんなに朝から晩までがんばっているのかというと,お金を貯めて,少しでも楽に結婚生活を始めたい,という計画だったようです。
「目標額は300万円!そのために自分ががんばる!」と,目をキラキラさせながら,よく話していたものです。
このハヤシさんという女性,私には少々ウザイ存在でした。
別に悪い人ではありません。
ですが,私よりも1年くらい先輩だということと,私よりも4〜5歳ほど年上だった彼女は,男ばかりの職場に入ってきた私がどうも気に入らなかったようです。
たまに,鼻であしらわれたり,顎でこき使うように指示をされたり,遠回しにそれとなく嫌味を言われたりしたものでした。
それでも,いじめというほどの粘質感はなく,よそでもっとひどいいじめを受けた経験のある私からすれば,かわいいものだったのです。
私にも当時,同じ会社におつき合いしている男性がいたし,他にも私の味方になってくれる人はたくさんいたので,ほとんど気になりませんでした。
フクシマさんの印象が変わった日
1年半ほど勤めたあるとき,飲み会でハヤシさんの彼氏・フクシマさんと同席になったことがありました。
「今度,飲みに行こうぜ」
イケメンじゃないけど,人当たりは悪くないし,まあ,酒席でよくある会話です。
ところが。
「いやいや,ハヤシさんに申し訳ないし,私の彼氏のことも知ってるでしょ」
私が笑いながら,それとなく遠ざけるフレーズを発してみました。
「そんなの関係ないし。行こうぜ行こうぜ〜」
「黙っとけばいいんだから」
え? こんな人だったっけ?
それに,しつこい。
「いいじゃんいいじゃん,お互い相手がいるけど,別にいいじゃん」
「いつがいい? オレ,今度の夜勤は○日と○日だから,○日は休みだから」
あまりにしつこい。
酔っ払いの戯言だと私は受け流したのですが,心の中でドン引きしたことを憶えています。
それまでも,何度か仕事関連で会話したことはありましたが,なんかちょっと…
その日はそれで終わりましたが,なーんか嫌〜な印象を彼に抱くことになったのでした。
その印象がやがて的中します。
ハヤシさんがいなくなった
それからさらに数ヶ月後のこと。
ある日を境に,ハヤシさんが出勤してこなくなりました。
本業の会社が忙しかったり,夜中のパチンコ屋の掃除が店休日だと「夜はゆっくりするわ」とのことで休むことはありましたが,何日も来ないということはありませんでした。
私がいた現場はバイトがメインで回っている部署で,夕方から勤務開始だということもあって,そうした事情があっても誰も気に留めることはありません。
私もまったく気にすることなく,自分の仕事をしていました。
数日が経つと,さすがに噂が立ち始めました。
何日も来ないぞ,ハヤシさん。
どうしたのかハヤシさん。
すると,社内の事情通と仲のいいおばさまが,私に耳打ちしてきました。
「ハヤシさん,辞めるのよ」と。
ああ,そうだろうな,この流れは辞める流れだろうな,何か事情があるよな。
別にいいけど。
ハヤシさん,私のこと,あまり好きじゃなかったんだろうし,そうですか。
私はそう思いました。
こういう噂話が好きな人って,世の中,本当に多いですよね。
このおばさまも例に漏れず,どうしてこうもおしゃべりなのだろうかと感心させられるほど,社内の話をたくさん聞かせてくれます。
もちろん,この話も,聞きもしないのに事情を詳しく教えてくれました。
「フクシマさんとハヤシさんが別れることになったの」
ああ,そうだろうな,そんなことだろうな。
そうなると,そりゃ同じ会社には行きにくくなるだろうな。
そう思った瞬間,耳を疑うような話が続いたのです。
「フクシマさんが,ツヤコさん(仮名)と結婚することになったそうよ」
え。
ツヤコさん???
社内の経理かどこか事務方の,地味な女性です。
すぐには顔を思い出せないくらい,存在の薄い人でした。
続きは後編 へ。
ハヤシさんもきっと,「フクシマさんもわかってるはず」と思ってたのかな…