旅はひとりでするに限る
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今週のお題「遠くへ行きたい」
今回は,はてなのお題に乗っかってみることにします。
鹿児島で治療中にもひとり旅
独身だった頃は,ひとりで旅によく出かけたものでした。
懸賞に当たってLAに行ったことをきっかけに,自分でプランを立てて,ひとりで行動するのがたまらなく開放感と達成感を知ってしまいました。
それ以来,毎年ひとり旅を計画し,実行するようになりました。
ですので,鹿児島で乳がんを治療することになったときは,「治療の合間に旅行に行けるぞ」と,わくわくしながら計画を立てました。
UMAオンコロジークリニックで治療できるかどうか,植松先生のセカンドオピニオンを受けた際,「週末は東京に帰ってもいい」「旅行に行く人もいる」と聞かされたときも,治療の不安よりもそちらの楽しみになったくらいでした。
実際,治療中には屋久島に1泊旅行に行きました。
鹿児島港から高速船に乗り,レンタカーを借りて島を1周。
「カーナビつけてください」と言ったら,「屋久島でカーナビなんていらない」と笑われました。
山道を走っていたら,野生のヤクシカに遭遇したり,青すぎる海をただボーッと眺めたり。
入院している病院には,あまりいい顔をされませんでしたが,これくらい自由度が高いのも,このクリニックでの治療法ならではです。
がんを治療しているのに,ですよ。
現在はどうなんでしょう。
もしかしたら,入院そのものを扱わなくなっているかもしれません。
UMSオンコロジークリニックで治療をお考えの方で,治療がない日の過ごし方について疑問があるときは,クリニックにお尋ねください。
母からの電話
最初のがんが見つかって,簡単な手術で経過観察となったとき,シンガポールに行きました。
当時おつきあいしていた人のモラハラは凄まじく,それは物理的な暴力ではなく,精神的な暴力でした。
同じ会社だったのですが,何か機嫌を損ねることがあると,翌日は社内で無視。
目も合わせようとしません。
すれ違っても無視,つきあってるのにですよ。
当然,連絡もとれませんから,別れ話もできません。
耐えられなければ,そのままフェイドアウトで別れればいいのでしょうが,どういうわけか,離れられなかったのです。
ヘビににらまれたカエルというか。
すでに魅力を感じるような人ではないと頭でわかっていたのに。
「夫の暴力が… でもやさしいんです…」と訴えるDV被害者の気持ちが少しわかります。
カラダが動かないんですね。
もがき苦しみながら,はたと思いつきました。
なんとか景色を変えたい,それには旅だ。
連絡が来ないのなら,私は自由だ。
どこにいたって,何をしたって束縛されない。
ひとり旅に加えて,帰省にも飛行機を使っていたので,マイルがそれなりに貯まっていました。
シンガポールを知るための65章【第4版】 (エリア・スタディーズ17)
シンガポールなら,そこを拠点としていくつかの国へ旅することができます。
期間中は,インドネシアやマレーシアに日帰り旅行も楽しみました。
といっても,頭の中はずっとヘドロのようなものが渦巻いている状態で,実際は楽しんでいたかどうか記憶にありません。
ある日,誰にも邪魔されず,開放されているはずなのに,カラダが重く,昼過ぎまでホテルで寝ていた日がありました。
ひとり旅だからこその融通です。
誰かひとりでも同行者がいたら,私はきっと無理をしてでも起きていたでしょう。
街歩きでもしようか,一日フリーに設定してるから,なんとでもなるか。
そう思いながら,なぜか涙が止まらず,ふとんにくるまっていたら,電話が鳴りました。
母からでした。
当時は,自前の携帯電話を海外で使うにはとんでもなく手間がかかったので,空港で現地用の携帯電話をレンタルするのが主流でした(たぶん)。
フライトの前に,母にその番号を伝え,帰国するまではこれにかけてね,と言っておいたのです。
私は,どこへ旅に行くにも,まず母に連絡しておくのですが,めったにその期間中に電話してくることなどありません。
邪魔しちゃいけないと思っているのか,本当に用がない限り,連絡はありません。
その母が。
通話代も高くつくというのに。
「なんか元気なかったから」
そんなこと,言われたことありませんでした。
母は母なりに気づいていたんですね。
どうもしないよ,とだけ言って,他愛もない話題に切り替え,おみやげを買って帰ると伝え,電話を切りました。
こうして私は,母に心配ばかりかけてきたんだな。
がんなんかになっちゃって。
モラハラ男に引っかかってもなお,抜け出せないなんて。
このときはまだ,子宮頸がんだけで,しかも簡単な手術で済んだので,母には入院・手術のことは伏せておいたのですが,何か感じるものがあったのでしょう。
ひとり,旅先で噛みしめる,親のありがたさ。
日常生活ではあまり味わえないことなのかもしれません。
毒親だと思っていた母に対する気持ちが少しやわらいだのは,この頃からでした。
ひとりで楽しむのが最高
そんな母とは,数年前から2年に一度のペースで海外旅行に行っています。
去年は台湾に行きました。
その前は香港,その前は韓国,近場ばかりですが。
しかし,ひとりじゃ何もできない,というかやらない母。
今はひとりで暮らしていますが,日常生活のこと以外はすべて私に任せきり。
なので,旅をするにも,もちろん全部私が手配します。
意外と面倒なのが「どこでもいい」「何でもいい」という返事。
せめて「○○ってのが食べてみたい」くらいは言ってもらいたい。
楽しんでもらえているかどうか,とても不安になります。
それは親であろうと,夫婦であろうと,友人とであろうと変わりません。
一緒にいる人が迷惑に思っていないか,楽しんでいるかどうか,やりたいことはやれているか,行きたい所に行けているか,いつもいつも気にしながらの旅は,自分が楽しめません。
私ってばわがままですね,まったく。
結婚してからはもちろん夫と一緒。
それはそれで楽しいのですが。
もともとずっとひとりで過ごすことが多かったせいもあって,ひとりでの旅に不安や苦労は感じませんでした。
フライトやホテルを一から探すのもまた楽しい。
計画を練るところから旅は始まっています。
旅先で思わぬハプニングがあったりもするけれど,それに慌てず対処する自分を「アタシってカッコいい…!」と褒めたりして。
人生もそうですね。
行き当たりばったりではなく,ある程度は計画を立てて準備する。
その日暮らしな時期があってもいいけど,プランどおりに進むと,充実感と達成感を味わえます。
治安が悪くない国であれば,そんなに怖くないし,一泊二日の国内旅行でもいいから,試しに決行してみてはどうでしょう。
地球の歩き方MOOKハンディ 海外女子ひとり旅☆ パーフェクトガイド 2018 (地球の歩き方ムック)
安全情報やパッキングの裏ワザもいいけど,ビューティー系の情報まで載ってるなんて。
『人見知り女王』の主人公・日和ちゃん。自分を見ているような気持ちになってしまいました…
飯テロ満載,これだけでも旅に出たくなります。