がん治療中の仕事をどうするか問題【副業も視野に入れよう】
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がんを告知されて治療しなきゃいけなくなったけど,仕事はどうしたらいいんだろう?辞めなきゃいけないのかな…
いろいろな心配事が出てくる中でも,これはかなりのウェイトを占める問題でしょう。
こうした悩みを解決するヒントをお伝えします。
私が子宮頸がんの再発と乳がんの治療で丸1年間を費やした2008年。
その当時とは比較できないほど,社会の状況はがらりと変わりました。
当時の私がこれをやれていたら,十分休養できた上に,もっと有意義な治療期間が過ごせたかもしれないと思えることを書いてみましょう。
ぜひ参考にしてください。
がんを治療している間の仕事はどうしよう?
がんと診断されて,ステージや治療内容,それに各個人のご事情にもよりますが,仕事への対処はいくつか考えられます。
- 退職する
- 休職や仕事量を減らす
- 副業をする
つまり,病気に限らず,今のキャリアに不満や不安がある人が取る行動と,なんら変わりません。
それまでの会社や上司,同僚との付き合い方で大きく作用するのは間違いないのです。
カギはやはり人間関係であるといっても過言ではありません。
1. 退職する
もしも,「がんの治療をすることになりました」と会社やクライアントに伝えて嫌な顔をされるのなら,スパッと辞める・手を引くことを選択肢に入れてみてください。
ただでさえ迷惑をかけることになるから言いづらく感じることなのに,「お前がいない間のことは心配するな」と言ってもらえない職場環境では,がんでなくてもいずれ病気になります。
もしも,その時点で資産に不安がなければ,いっそ辞めたほうが精神衛生上も負担が減るでしょう。
また,がんになったという理由だけで解雇通達や解雇勧告する企業もあるようですが,それは無効です。
具体的なケースがこちらに詳しく書かれていますね。
「あなたの場合、どの程度の治療が必要なのでしょうか。治療を受けながらでも仕事が続けていけそうなのか、あるいは入院・手術などで短期間休業すればそのあとは通常どおり仕事ができるのか、そのへんが問題です。」
「がん罹患だけを理由にした解雇は無効です。労働契約法では、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇を無効としています。病気になっても、業務に支障がないのに解雇できる道理がないからです。」
少し前までは,がん治療=退職というイメージでしたが,職場でのサポートが期待できるのなら,辞める必要はないと思います。
フリーランスの場合は,仕事量の調整がうまくいかないことも生じてくるでしょうが,きちんと話し合えるかどうか,相手との関係性を思い返してみて判断するといいでしょう。
ただでさえ,がんという事実に向き合わなければならないのに,辞めることを伝えるというストレスが加わるというのは尋常なものではありません。
最初の子宮頸がんのとき,私も上司に伝えたところ,ビミョーな雰囲気になりました。
辞めろとまでは言われませんでしたが,翌日の会議では「ああ… かわいそうに…」という顔をした人と「すっげー迷惑なんだけど!」オーラをバンバン放つ人との間で,私は小さく縮こまっていました。
思えば,そのときにその会社を辞めていればよかったのですが,一人暮らしの厳しい経済状態,なかなかそうもいきませんでした。
今はいいですね。
「んじゃ辞めます」と自分でいいづらければ退職代行業というものを利用できる世の中になりました。
本当に「あのときに,こんなサービスがあればよかったのになぁ…」とつくづく思います。
2. 休職もしくは仕事量を減らす
休職や配置転換をお願いすることが可能であれば,積極的に制度を利用しましょう。
上でも書きましたが,上司や同僚,クライアントが話しやすいのであれば,治療期間中のスケジュールを打ち合わせしておきましょう。
「いつからいつまでは,抗がん剤投与のために入院する」
「この時間帯は放射線治療に行くので中抜けする」
こうした具体的な項目を,主治医とも話し合って把握しておき,会社やクライアントに伝えます。
もちろん,状況は変わることがあることも忘れずに伝えましょう。
私の場合,子宮頸がんが再発したのと同時に乳がんが見つかったときは,派遣社員として大手金融会社の子会社でグループセクレタリーをしていました。
子宮頸がんが初めて見つかったときとは,別の会社です。
その部署全体の秘書的業務,といえばカッコいいでしょうが,いわゆる雑用係ですね。
最初に,子宮がんの再発が見つかって入院・手術することになったときは,真っ先に部長とセクレタリーの主任に伝えました。
セクレタリーは私の他にも何人かいたので,サポートしてもらえる体制が整っていて,とても助かりました。
その次の乳がんのときには,事前にたくさんの検査を受けなければならず,そのたびに中抜けしましたが,できるだけ会社に戻ることを心がけ,迷惑をかけないようにしていました。
そして,鹿児島へ6週間の予定で出発する前日,事情を知る人たちから「早く戻ってきてね」と励まされ,出発しました。
ところが,到着して最初の診察で,腫瘍が告知時よりも大きくなっているから,8週間かかると言われました。
それを派遣会社に伝えたら,契約終了となってしまいました。
大好きな会社でしたし,スタッフのみなさんも,派遣だということをみじんも気にしない大好きな方々ばかりでした。
だけど,それまでも検査や入院で何度となく休んでいましたし,それに加えて治療期間が延長されるとなると,会社としては就業不適合と判断せざるを得なかったのでしょう。
ですが,派遣会社のご厚意で,健康保険の加入を維持するために,派遣契約を延長する交渉に応じてくださいました。
派遣社員の健康保険は,はけん健保という健康保険組合に加入することで利用できます。
派遣先との就業契約がされていることが加入要件なので,その時点で任意継続を申請したり,国民健康保険に移行するよりも,手間が省けるということで,派遣会社のコーディネーターが考えてくれました。
この派遣会社の対応が本当にすばらしくて,この人たちの働きぶりがなければ,私は路頭に迷っていました。
普段からの人間関係は大事だなと痛感させられました。
話は戻りますが,いざというときのことばかり考えるわけには生きませんが,こうした事態に陥ったとき,助けてくれる人がいるかどうかで,状況は変わってきます。
日頃から,誠実に人と接する,仕事はきちんとこなす,こうした当たり前のことができるからこそ,助けられるのだと思います。
世の中には,悪い人もいるけど,いい人のほうがたくさんいる。
それを信じて,助けてもらったら,今度は自分が誰かを助ける,その姿勢で毎日を過ごしたいものです。
3. 副業をする
もしも,体調や気持ちに余裕があって,休職できるのであれば,その間に副業をするのもオススメです。
会社員の方で,治療期間中は出勤しなくてもよくて,かつ,副業が社内規定で禁止されていなければ,副業をやってみてもいいかもしれません。
ただし,在庫管理が必要だったり,どこかに出かけなければならないなど,負荷が大きいものは避けたほうがいいと思います。
治療中は抵抗力も落ちています。
最優先すべきは,がんの治療であることは言うまでもありません。
あまり動かずにできること,自分のペースでできること,ありませんか。
もちろん,ブログを発信するのもいいと思います。
文章を書いたり,アフィリエイトのリンクを貼ったりするのは面倒かもしれませんが,私も当時,ブログは書いていたものの,アフィリエイトまでは考えていませんでした。
というか,できないと思っていました。
今は先達のみなさんが,いろいろな方法論を示してくれています。
「これで稼げたらラッキー」くらいの気持ちでないとやっていられないかもしれませんが,文章を書くことは気晴らしになります。
それを副業として,おこづかい稼ぎのノリでやってみるのもアリではないでしょうか。
病院での愚痴でも,治療の経過でも,同じような境遇の人の役に立ちます,きっと。
他にも,ネット上で完結する副業はたくさんありそうです。
気晴らしに作ったものをminneのようなサイトで売るのもいいと思います。
本業のような収入を得ることはむずかしくても,自分の可能性を広げるという意味でも,それまで経験しなかったがんによって非日常となったこの現状を,とことん活かすくらいの気持ちに切り替えて乗り越えていきましょう。
おわりに
以上をまとめると,
・がんを治療することになったら,1.思い切って退職する 2.休職や仕事量を減らす 3.副業をする という選択肢がある
・ステージや体調を考慮しながら,上記3つの態度をどれかを判断する
・人間関係や就業規則を把握し,スケジューリングする
・言いづらいなら退職代行を利用するのもアリ
・気晴らしに手作りしたものをハンドメイドのオンラインマーケットで売る
・ブログに治療のことを書いて,発散させるついでにアフィリエイト運営
なお,副業について,私の場合を加えると,上に書いた派遣の秘書業務以外にも,とある塾の講師を週に1回,アルバイトでやっていました。
もちろん,鹿児島にいる間はできませんでしたが,いつもと変わらない体調でしたから,これもバイト先のご厚意で,一時帰京した際はシフトを入れてもらっていました。
派遣契約を切られた後も,空きがあればシフトを増やしてもらったりもしました。
ひょんなご縁で得たこの仕事でしたが,その後も長く続けさせてもらっていました。
これも,スタッフのみなさんの支えがあればこそ,できる副業でした。
鹿児島で治療していたときは,本当に暇でした。
元気だっただけに,余計に時間を無駄にしたことを後悔しています。
がんになると,いろいろとやらなければならないことが出てきますし,何事も不安定になりますが,収入源の確保もまた,優先事項のひとつです。
焦らず,落ち着いて,ご自身の健康を何よりも最優先に,一つずつ解決していきましょう。
病気が治ったら,また何でもできるようになりますから。