生きた証をつらつらと 〜2つのがんを同時に患いました~

直径10cm・転移3か所・ステージIIIの乳がんを切らずにUMSオンコロジークリニックで治療し、子宮頸がんも4度の手術で温存して12年が経っても、まだ息をしている女の生き方

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私が選挙に行く理由【その1票で誰かの何かが変わるなら】

前回の記事はこちらから読めます↓   

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今日は東京都知事選挙の投票日です。

有権者のみなさま,ぜひ投票に行ってください。

 

どんな選挙でも,私は必ず行っています。

当日に行けないときは,期日前投票に行きます。

 

支持者がいなくても,必ず行っています。

そのときは,白紙投票です。

「支持者がいません」という意思表示です。

 

ある出来事があるまでは,20歳になって権利が得られても,投票に行っていませんでした。

面倒だと思っていたから。

 

ですが,その出来事をきっかけに,選挙に行こうと思うようになりました。

アットホームな選挙のアルバイト

20歳代前半か,半ばだったか定かではないのですが, 選挙のウグイス嬢のアルバイトをしたことがありました。

当時は独身で,まだ母の地元に住んでいました。

地元の市議会議員選挙。

知人の紹介で,公示前から合わせて約1か月半くらいの間だったでしょうか。

 

小さな片田舎の市議会議員選挙なので,東京都知事選や国会議員選挙のような大きなスケールではありません。

とはいえ,当時のそこらへんのアルバイトよりも時給が破格の高額だったので,二つ返事で引き受けました。

 

選挙カーに乗って叫んで手を振るだけではなく,お願いの電話をかけたりもしていました。

『選挙人名簿』というものがあって, 有権者の住所・氏名・電話番号が載っているものを見て,片っ端から『よろしくお願いします』とかけるんです。

 

お昼ごはんも,その候補者の奥さまが用意してくれました。

仕事の合間には,小学生の子どもさんの公文の宿題の答え合わせにつき合ったり,なかなかアットホームなお仕事内容でした。


なので,投票日当日には,「候補者ファミリーには大変お世話になりました」という思いで,その候補者の名前を書きました。

それまで選挙など行ったことがなかったのですが,やはり,自分が関わったとなると,ご恩に報いたいと思うのが人情というものです。

同じく,気が向いたときしか選挙に行かない母も「書いたよ~」と言ってくれました。

選挙に行こう

開票の夜の嵐

そして,その日の夜の開票。

支持者や選挙活動に携わった人たちが集まりました。

ごちそうが並べられて,開票速報を待っています。

 

もちろん,その頃はまだネットはなく, 代表スタッフが開票作業所に張り込み,電話で速報を逐次知らせてくるのです。

 

たしか,21時前後でした。

 

 


「落選だって…」

 

みなさん,一様に沈んだ面持ちです。

言葉もありません。

 

目の前にあるのは,お赤飯のおにぎり。

切ない。

落ちたのにおめでたいメニュー。

 

内心では,“あぁ,もともと支持層の薄い候補者だったしなぁ” などと,個人的に感じたりもしていたので,致し方ないんだろうな,と思いました。

 

15分くらい,みなさんで落ち込んで,誰かが言いました。

「じゃあ,“お疲れさま会”ということで!」

 

そうだそうだ,という雰囲気にだんだん変わって, 飲み物がめいめいに注がれ,軽く乾杯して, 食事がそれとなく始まりました。

 

その日はすごく晴れていたのに,夕方から少し曇り始めていてました。

会食が始まって程なくした頃。

 

すさまじい突風が吹き荒れました。

バッサバッサと音を鳴らして,テントが揺れます。

すさまじい突風

もう,吹き飛ばされそうなくらいの強風。

紙コップや紙皿がいくつも飛んでいきました。


「早く片づけなきゃね」などと言いながら,裏の雑木林を見上げて,その不気味さに身震いがしたものです。

 

残念ムードも少し落ち着いて,開票作業も終盤に差しかかった22時近くだったでしょうか。

 

突然,スタッフの男性の一人が叫びました。

 

 

「集計ミスだって! 当選!!」

 

 

ぇえーーーーーーッッッ?!?!

 

ボーダーライン上にいた候補者の順位が入れ替わったのです!

逆転!!

当選です!!!

 

途端に,祝賀大宴会にモードチェンジ。

市長もお祝いに駆けつけました。

当然ながら,お祝い回りルートの一番最後だったそうです。

 

乾杯し直して,みなさんヘベレケ。

深夜2時も過ぎた頃まで,歓喜に包まれた宴となりました。

 


当落を分けた得票数,その差。

 

 

2票差でした。

 

それまで選挙に行ったことのない人間2人,投票したじゃないですか。

母も「これって絶対,あんたとおかあさんの票よね!」と,後日言っていました。

誰かの何かが変わるなら

この一件があって以来,選挙には必ず行くことにしました。


世の中や政治は,もしかしたら変わらないとしても,確実に何かが変わると知ったからです。

 

私も,その力の一端を担っていることがわかったのだから。

たとえそれが,どんなに小さいものであろうとも。

 

誰かの何かを変えるかもしれないのです。

有権者のみなさま,ぜひ,投票に行ってください。