「がん友」という言葉は好きではないけれど【かけがえのない友人】
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入院したことのある人なら,患者さん同士で仲良くなるということは,多かれ少なかれ経験があるでしょう。
鹿児島に滞在し,UMSオンコロジークリニック(当時の名称はUASオンコロジーセンター)で治療しているときに知り合った人のうちでも,特にMさんとHちゃんの二人とは,今でも長いおつきあいをさせてもらっています。
東京から来ていたMさん,10歳以上若く見える,かわいらしい女性。
音楽関係のお仕事をしていて,声楽家でもいらっしゃるので,声がとってもきれい。
よく,お菓子をいただいたりしていました。
ご主人にも,食事をごちそうしてもらったり,ご夫婦でかわいがってもらっています。
もう一人,関西から来ていたHちゃんは同年代。
私が出会ったときには,もう治療は終わっていて,定期の診察のためにクリニックに来ていました。
受付の女の子が紹介してくれました。
私を指さして「あの人,おもしろいんだよ〜」とHちゃんに言ったらしいです。
Hちゃんもピアノの先生。
二人とも音楽関係なのは,まったくの偶然。
別々のタイミングで知り合ったので,3人一緒に何かをしたことはありません。
だけど,みんな同じ乳がん。
「自分のはここにこれくらいの大きさ」とか「私はかゆくはならないけど,たまにチクチクする」とか,そんな情報交換をしたりしていました。
だけれど,一番気の合った共通の意見がありました。
それは,がんになると,他人のアラが見えてくるということ。
その人の本性というか,自分が本当につきあいたい人,自分と本当に相性のいい人,など。
そのあたりについては,過去の記事にも書きました。
- 私が選択した治療方法に対する外野のネガティブ反応を振りはらう日々だった
- がんになると弱みにつけ込む輩が現れるので、できる限り内輪だけの秘密にしておいたほうが無難かも
- がんになったことを友人にカミングアウトすべきか【相手を選ぼう】
「宗教の誘いと,ネットワークビジネスの売り込みはかならず来るわよね〜」
「○○の呪いだ,祟りだ,とか,なんで見えるのよ?っていうね」
「▲▲ばかり食べたからそうなるんだ!!とか決めつけないでほしいわ」
そうした愚痴も言い合ったりしました。
がんを通して知り合い,同じ病気を経験した間柄ではあるけれど,「がん友」とひとくくりにしたくないくらい,いろんなことを考えさせられ,助けられ,励まし合いました。
かけがえのない友人を作ることができたのも,がんにかかったおかげではあります。
きっかけは何であれ,深く長くつながれる友人ができるとは思っていなかった生き方をしてきた私の,大切な宝物です。