イマジネーションの力を使わない手はない【怪しいと思われてもいい】
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怪しいと思われるかもしれないことを覚悟で書きます。
2008年,鹿児島のUMSオンコロジークリニックで放射線治療を受けていたときに起こった,不思議なできごとを書いてみます。
自己治癒力の医学
その数年前,イメージ療法に関する本を読みました。
『自己治癒力の医学 実録・イメージ療法の勝利』というタイトルです。
今も手元にありますが,初版が1989年という古い本です。
現在は絶版になっているようです。
イマジネーションの力によって,脳腫瘍を治したというアメリカの男の子の治療記録です。
この本に登場するギャレットくんは,9歳のときに脳腫瘍が見つかり,手術は不可能であると告げられました。
両親は健康管理の専門家であり,難病患者とその家族に接する仕事をしていました。
加えて,近親者が相次いでがんで亡くなったことをきっかけに,がん関連の書籍を読み始めます。
そのなかで,がんに心理療法が有効な面があることを確信しました。
そして,カリフォルニア大学で放射線治療を勧められ,すぐにそれが開始されます。
ギャレットくんと共著者のポーター博士は,治療を宇宙戦争に見立て,腫瘍を小惑星という設定にして攻撃するというシナリオを作り,テープに録音して聴いていました。
途中経過で,探検隊の設定に脚本が書き直され,腫瘍までたどり着く迷路を進み,おびただしい数の白血球が腫瘍を攻撃してやっつけるというイメージを使うようになります。
そして1年ほど経過したとき, 「敵のイメージが浮かんでこない!」と父親に報告し, CTで見てみると,腫瘍が消えていたというのです。
家族や周囲の人たちの支援体制も充実していたのですが,最終的にはギャレットくんの脳腫瘍は完治しました。
いろいろな設備や環境に恵まれていたギャレットくんのケースではありますが,この本をヒントに,私も使える部分は使ってみようと考えたのです。
どういう経緯でこの本を読もうと思ったのかはもう憶えていません。
たまたま,がんを告知されるさらに何年も前に読んでいました。
乳がんの治療が始まる頃,ふと,この本のことを思い出し,自分なりに実践してみようと思い立ちました。
治療中に実践した自己流イメージ療法
クリニックの地下にある治療施設では,ベルトコンベアのような台に寝て,それが機械の下に移動し,また次の機械の下に移動し…という流れで治療が行われます。
私の腫瘍に対するイメージは,思春期の頃の自分。
誰も助けてくれない。
ひとりぼっち。
甘えているし,だけど成長したい,なんとかしたい。
中学のときの制服を着て体育座りでうずくまっている。
機械の上に横になって,放射線が当たっているときは,腫瘍に光が射しています。
すると,セーラー服の私に七色の光が注がれます。
そうすると,魔法もののアニメのように,きらきらきらーっと変身していくのです。
ミンキーモモとか,クリーミィマミとか,ひみつのアッコちゃんとかみたいに,華麗にかわいく。
自分がアニメの魔法少女が変身するときのイメージを思い浮かべていました。
的確な映像が見つからないのですが,近いのはこんな感じでしょうか。
13歳の自分をイメージしようと決めたわけではありませんでした。
なぜかいつも,中学の制服を着た私が体育座りでうずくまっている姿が頭の中に描き出されるのです。
理由はわかりません。
まあいいやと思いながら,13歳の私に魔法がかけられ,キラキラしたものが降り注ぐようなイメージを思い描いていました。
美しいレディに生まれ変わるようなイメージも加わります。
私は乳がんで,脇の下にも転移があったので,腕をバンザイした状態で受けていました。
呪文は唱えていません。
ほんの15分の間,目を閉じて,バンザイして,キラキラ,キラキラ。
とにかく,毎日毎日,セーラー服で膝を抱えてうずくまっている13歳の私に,キラキラ変身パウダーが振りかけられます。
毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日。
いつの間にか,治療が始まるときに13歳の私が出現することは当たり前になっていました。
13歳の私がいなくなった日,腫瘍が消えた
約2ヶ月の治療があと2週ほどで終わろうとしていたある日。
治療室に入りながら,「さあ,今日も13歳の私が…」と,いつものように脳内が準備を始めました。
しかし。
登場しないのです。
13歳のセーラー服の私は“こんにちは”とも言わないのです。
どこを探してもいません。
おかしいな,いつもの場所にいない。
すっかり行方不明,挨拶もなしに出ていってしまいました。
すると,通りを掃き掃除しているおじさんがいたので尋ねてみました。
13歳くらいのセーラー服を着た女の子がいませんでしたか。
おじさんは答えました。
「ああ,その子なら,“もう私は大人になったの,だからもう帰ってこないわ”って言って,あっちに行ったよ」
え。
そうなの…?
なんだかちょっとさびしくなって,もう少しあたりを探しましたが,13歳のセーラー服の私はどこにもいませんでした。
その日の治療後,週1回恒例,植松先生の診察がありました。
画像を見た先生が言いました。
「これ見て,がんがきれいに消えてるんだよね,あんなに大きかったのに。
思ったより早く終わりそうなんだよね,ほとんどきれいに取りきれてる」
先生の声も表情も,とても嬉しそう。
私の目の前にある治療前の写真と並べられた直近の写真は,まったく違うもののようでした。
……本当なんですって!!!
毎日毎日,私のイメージの中にうずくまっていた13歳のセーラー服の女の子が消えたのと同時に,腫瘍がなくなっていたのです。
もしも,あの直径10cmにも育った腫瘍が,幼い私の化身だったとしたら。
私のイマジネーションの力が,治療の一助となったのでしょうか。
子宮頸がんの手術でも使ってみた
そして,子宮頸がんの手術のときにも,「今回の手術ではどうなるんだろう?」と,少し考えていました。
術後,死んだほうがマシだと思うくらい傷が痛かったり,体の自由は利かないし, 体から管がいっぱい繋がれたりしてグロッキーだったのに,どこかスッキリしている自分がいました。
えもいわれぬ爽快感。
もちろん,手術当日の朝まで悩んでいたので,「ついにやってもた…」という, 到達の事実からくるものかもしれません。
しかし,ずっと抱えていた,自分の中の暗黒の自分が,ちゅるちゅるちゅるーっと排出されたのだとしたら。
この手術も,やはり大大大成功!だったのです。
イマジネーションの力を使わない手はない
現代の心理療法でいわれているイメージセラピーとは違うのかもしれません。
冒頭にも書いたように,この本は初版が1989年であり,それを実践というよりも真似というべきこのことを治療中にやったのは,2008年です。
心理の専門家ではないので詳しいことはわからないのですが,こうした関係の研究は,現在,もっともっと進んでいるに違いありません。
もちろん,これが最大の効果であるなんてことを言うつもりは毛頭ありません。
とはいえ,自分がイメージしたことが,病気を治す手助けになるのなら,使わない手はないのです。
私は無宗教ですし,スピリチュアルなことは信じません。
「宇宙と一体になる」といった表現をするものは好きではないし,先祖が〜とか,天使が〜といったことは非科学的なものとして,距離を置いています。
しかしながら,そうしたものが,思い描かれたイメージの権化であるとするならば,それが宗教やスピリチュアルな世界が求められている理由なのかも…と,思わなくもない。
もしも何かの病気やケガの治療を受けているとしたら,1日のうちの,治療を受けているほんの数分,ほんの数時間のあいだだけでいいんです。
余裕があれば,また興味があれば,こうしたイマジネーションの力を,ぜひ活用してみてください。
疑ってかかるくらいがちょうどいいですし,はまり込みすぎて法外なお金を取られるような団体に入信しないよう注意する必要はあります。
ですが,一人ひとりの個人が頭のなかで思い描いた世界には,誰も邪魔をする権利はないのです。