生きた証をつらつらと 〜2つのがんを同時に患いました~

直径10cm・転移3か所・ステージIIIの乳がんを切らずにUMSオンコロジークリニックで治療し、子宮頸がんも4度の手術で温存して12年が経っても、まだ息をしている女の生き方

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私が治療していたときとの相違点【植松先生の他の本もレビューする】

前回の記事はこちらから読めます↓

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前回,『明るいがん治療3』という本を軽くレビューしました。

レビューといえるものになったかどうかはさておき,他の本も読み直していましたら,「私が治療を受けていたときとは違ってるな」と感じた箇所がいくつか出てきました。

主治医の本なのに,さらりと読み流すだけになっていて,きちんとしっかり理解しないままでいました。

植松先生,ごめんなさい。

 

特に,今年(2020年)出版された最新の本『世界初からだに優しい高精度がん治療 ピンポイント照射25年間の軌跡』では,さらに新しいことに触れられていました。

今回は,私の過去の記事と照らし合わせつつ,この本について書いてみます。

世界初からだに優しい高精度がん治療のレビュー

方丈社という出版社から出された『世界初からだに優しい高精度がん治療 ピンポイント照射25年間の軌跡』は,企画・編集の担当者の方がUMSオンコロジークリニックで治療を受けたご縁から書かれたものだそうです。

彼女はステージ2の乳がんを患っていました。初めの診察を受けた都内の有名な病院の乳腺外科医に,「鹿児島に行くととんでもない目にあうからやめなさい」と言われたそうです。でも,彼女は鹿児島で私たちの放射線治療を受けました。それからまもなく7年。私たちの治療を,「世の人たちにとっての選択肢の一つにしたい」という気持ちから出版を勧めてくれました。

(『世界初からだに優しい高精度がん治療 ピンポイント照射25年間の軌跡』植松稔 p.286 方丈社)

うーん,毎度ながら先生の本には,「とんでもない目にあう」とか言う人が登場しますね。

どういう根拠で言っているのかはわかりませんが,噂レベルでこういう発言をしているとしたら,そういう医師に自分の命を預けたくはないですね。

 

それはさておき,この本では,それまでの先生の著書ではあまり出てこなかった,放射線治療による皮膚炎について書かれていました。

 

私も含め,UMSオンコロジークリニックでの放射線治療は,広い範囲への照射と,ピンポイントでの照射の2つを受けることになります。

 

過去の記事でも,何度かその表現が出てきました。

広い範囲に照射するのは,目に見えない所にもがんが潜んでいる可能性があるので,それに対する処置であると同時に,最初に見つかったがんを小さくする狙いもあります。

 

この広い範囲への照射が皮膚をただれさせることがあり,私の場合,抗がん剤を併用したために,それが強く出てしまいました。

そのときの写真は,過去の記事に載せています。 

元々,日焼けに強い人の場合には,このような変化は特に目立ったものにはなりませんが,皮膚が弱く,しかも新陳代謝による皮膚の再生能力が低い場合には,比較的強い皮膚炎がしばらく続くこともあります。

(『世界初からだに優しい高精度がん治療 ピンポイント照射25年間の軌跡』植松稔 pp.133-134 方丈社)

私はどちらかというと,皮膚は弱いほうではありません。

日焼けすると黒くならずに赤くなっておしまい,というタイプではありますが,その関連はよくわかりません。

 

放射線の線量が他の人よりも多かったのか,抗がん剤との相性が悪すぎたのか,はたまた別の要因があったのか,それは個人差を云々する範疇なのかもしれません。

 

これに関する対策として,私が受けていた当時には言われなかった「高圧酸素療法」のことが書かれていました。

皮膚の新陳代謝を上げるのに有効な方法は,現在確立されているものとしては,全身に酸素を供給する「高圧酸素療法」しかありません。私たちが皮膚の状態を診て,皮膚炎が強いと思った場合には,この「高圧酸素療法」をお勧めしています。

(『世界初からだに優しい高精度がん治療 ピンポイント照射25年間の軌跡』植松稔 p.134 方丈社)

「高圧酸素療法」,初めて聞きました。

ちょっと調べてみますと,圧力の高い高気圧治療装置の中に入り,100%酸素を吸入することで全身に酸素を供給する手法だそうです。

がんに対する放射線治療後に,時に正常粘膜が「ただれる」ことがあり,治療に難渋することがあります(放射線照射後の晩期障害)。放射線照射後の晩期障害に対する高気圧酸素治療の有効性は高く,米国では高気圧酸素治療の適応疾患中,晩期放射線障害患者さんが最多を占めます。 

白血球による滅菌作用を増強するため,細菌感染症に対して有効です。ガス壊疽,壊死性筋膜炎,骨髄炎等に対して適応となります。

(以上,東京医科歯科大学医学部附属病院 高気圧治療部HP 「高気圧酸素治療について」 より)

たぶん,私が治療していた頃にこれがあったら,間違いなく高圧酸素療法も勧められていたと思います。

 

本当に,夜中にかゆさ対策の氷をナースコールで泣きながらお願いしていましたから。

そして,良質なたんぱく質を摂り,皮膚を優しく清潔にすることなども書かれています。 

 

そういえば,鹿児島は温泉天国なので,毎日銭湯に行って遊び呆けていたら,先生に言われたことがありました。

「銭湯の湯船は雑菌がいっぱいいるから,それがダメージを受けている肌に悪さしているかもしれない」

そのまんまのことが,この本にも書かれていました。

人間の皮膚の表面には「常在細菌」が無数にいます。通常の健康な状態の皮膚には特に問題を起こすことはありませんが,放射線による日焼けで皮膚の抵抗力が落ちていると,この常在細菌が皮膚に炎症を起こし悪影響をもたらします。ですから,皮膚を優しく清潔に洗うこと,また炎症を起こしてしまった場合には,必要に応じて消毒をすること,この2つがとても重要になります。

 お風呂の湯ぶねは細菌だらけなので,沸かし立てだとしても,弱っている皮膚にはとても有害です。

(『世界初からだに優しい高精度がん治療 ピンポイント照射25年間の軌跡』植松稔 pp.134-135 方丈社)

温泉に行くのはいつしかやめるようになりましたが,やはりそれも原因だったのかなぁと,今さらながら改めて反省しています。

 

概ね,私が治療していたときと,先生やクリニックのスタンスは変わっていませんが,「高圧酸素療法」の紹介など,新しい視点が加わっているのですね。

 

私のときもあればよかったのにな。

この後に子宮頸がんが再々発しましたが,もしかしたら,それに対する作用も良い方向に出たかもしれないなと思いますが,なかったものは仕方ないです。

 

この本,じっくりと読んで,私なりの感想をまたしっかり述べたいので,次回以降も,もう少し続けさせてください。

世界初からだに優しい高精度がん治療 ピンポイント照射25年間の軌跡

世界初からだに優しい高精度がん治療 ピンポイント照射25年間の軌跡