社会人が勉強を習慣化させるためには3【計画ばかり立ててはダメ】
前回の記事はこちらから読めます↓
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習慣化させるには,達成感を味わうこと,そのために報酬を用意しよう,ということをおすすめしてきました。
ここまで書いてきて,やたら計画を立ててばかりだということに気づいた人もいるかもしれません。
ですが,何度か書いてきたように,計画どおりに進むことは稀でしょう。
チームでやっているなら,誰かが代わりにやってくれたり,リーダーやマネジャーのような人が調整をすることがあります。
しかし,ひとりでやるとなると,その役目をすべて自分でやらなければなりません。
ただでさえ,習慣化できていないのに,そうした「ひとりプロジェクト」を完遂することは可能なのでしょうか。
おそらく,学習計画が壮大すぎて,ぴっちりと守れることなく心が折れて,いつの間にかフェイドアウト…となるでしょう。
そうならないために,習慣化させるための学習計画を,どう立てたらいいのか,考えてみましょう。
「習慣化」というと,歯磨きによく例えられます。
朝起きた後,食後,寝る前など,多くの方は,ほぼ自然に身についているはずです。
「さあ,これから歯を磨くぞ!」と気合を入れてやる人はあまりいないのではないでしょうか。
そこに達成感があるとすれば,歯磨きが終わった後の口の中の爽快感でしょうか。
しかしながら,始まりに気合がいらなかったように,歯を磨き終わってからも「ああ,口の中がスッキリしたぞ〜!!!」と,達成感にあふれることは,あまりないと思います。
では,歯磨きの習慣はどうやって身についたのでしょうか。
それは,子どもの頃からずっとやらされてきたからです。
子どもの頃に「お口の中のばいきんをやっつけましょう」などと言われて,嫌々やらされた人もいるかもしれません。
これは親や幼稚園の教員,保育士などからの教育によるものでもあります。
この教育を,自ら課し,実践し,達成感すらどうでもよくなる粋にまで身につけていく作業が,習慣化へのステップなのです。
その覚悟はできていますか?
ここまでの記事で,覚悟,覚悟と何度となく書いてきましたが,怖いものでも,アツイものでもありません。
ただ,決意するだけです。
「ちょっと,がんばってみようかな」
これくらいの決意でも全然構いません。
むしろ,これくらいでないと,計画どおりに進まなかったときに,また自信が失われてしまいます。
そして,その計画は,大まかでいいのです。
以前の記事で,「何年かけて卒業するのか」「1年間でどの科目を履修するのか」「3か月でどの科目を履修するのか」などと,通信制大学で学ぶ際の計画の立て方を書いてきました。
- 通信制大学についてもう少し【私の学習計画・勉強方法(1)】
- 通信制大学についてもう少し【私の学習計画・勉強方法(2)】
- 通信制大学についてもう少し【私の学習計画・勉強方法(3)】
- 通信制大学についてもう少し【私の学習計画・勉強方法(4)】
- 通信制大学についてもう少し【私の学習計画・勉強方法(5)】
- 通信制大学についてもう少し【私の学習計画・勉強方法(6)】
ですが,ここで大事なのは,ちょっとだけ無理めな計画を立てて自分を追い込みつつも,その計画に押しつぶされてはいけないということです。
私が学ぶ大学の,とあるコミュニティを見ていますと,新入生が入ってくるたびに意気揚々と履修計画を公表する人が,毎期,必ず現れます。
共通点は,その計画をすべてやり遂げられる前提で書いているところ。
いや,志は立派ですし,入ったばかりの頃はそう思うでしょう。
ですが,その計画どおりに進んだ人を,これまで見たことはありません。
皆無です。
少なくとも,そのコミュニティの中で,そういう計画をぶち上げた人ほど,いつの間にか消えています。
「入学して3日でレポートを書き上げた。これで1年後にやることがなくなってたらどうしよう」
などと自己陶酔する人がいたりします。
そして,その計画を見れば見るほど,「はいはい,がんばってね」としか思えないのです。
できる人なのでしょう。
どうぞやり遂げてください。
しかしながら,ここで言いたいのは,そういう人をdisることではありません。
その科目のテキストに対峙できるだけの素地を,あなたは備えているのですか,ということです。
もちろん,目標があって,勉強したいことがあって,得意な科目であれば,どんどん進むでしょう。
ですが,そういった箇所ばかりではない可能性もあるのです。
TOEICであれば,リスニングよりもライティングのほうが苦手なら,ライティングの勉強は,その苦手意識との闘いでもあります。
そうした壁が訪れることも考慮しておかなければ,計画なんて立てたところで,ご立派なオオカミ少年でしかないのです。
ここまで書いていて,内田樹先生が阪神淡路大震災での出来事を引いて,「計画よりも,まず実行」ということを書かれていたのを思い出しました。
どの本だったか失念してしまったのですが,震災で,内田先生の勤務校だった神戸女学院大学も被災しました。
キャンパスに山積した瓦礫を見て呆然とする中,誰からともなくその瓦礫を片づけ始めました。
すると,同僚の誰かが,「作業計画を立てて効率的に進めよう」と言い出したのです。
ですが,そんなことを言っている場合ではありません。
余震もあり,さらに被害が拡大するかもしれない。
そんなときに,作業計画のための時間など割いていられないのです。
「計画を,計画を」とその人は言い続けていましたが,みんなそれを無視して,ただただ黙々と作業をしたそうです。
最終的には,そんな計画などなくても学生や職員,ボランティアの人たちなどと協力しあい,キャンパスは見事に片づいたといいます。
ところどころ記述が曖昧になっていますが,こうした計画などなくても,「キャンパスを元通りの状態まで近づける」という目標があったからこそ,動けたのです。
効率は大事ですが,やったこともない,もしくは苦手な勉強に効率を優先させたりしてはいけません。
ただ,ただただ,やるのみ。
まずは着手です。
ですから,計画はざっくり大まかでいいのです。
実力の現状を把握するために,「まずはパラパラとご挨拶めくりする,次に,5ページを何分かけて読めるのか」を測ってみる。
まずは自分を知る,現状を知る,環境を知る。
『学習計画』とは,そこから始まるのであって,段取りを決めるのは,実はあまり重要ではないのです。
このバランスを取るのはむずかしいかもしれませんが,動いてみて,やっていくうちに自分の得手不得手が浮かび上がってきます。
立てた計画を修正する,または捨てる勇気も必要になってきます。
ですが,こうして勉強に対する意識が築かれていっている時点で,すでに習慣化は始まっています。
あきらめないで,愚直に階段を昇り続けましょう。